事例02三井物産グローバルロジスティクス株式会社様
グローバル標準倉庫管理システム(WMS)
アジアを中心にグローバルでの新規物流拠点構築案件の引き合いが増加する中、グローバル標準で対応可能なWMSが無かったために、WMSは案件単位でスクラッチ開発や現地パッケージ導入等の個別対応となっている状態でした。その問題点を解消するため、AZAREA_Geneを利用して、グローバル標準のWMSの構築を実施しました。また、WMS稼働基盤には、海外物流事業拡大とともにシステム基盤がグローバルに、フレキシブルに拡張可能なAmazon Web Services(以下、AWS)を選択。セキュアで高品質なWMS稼動基盤実現のため、AWSクラウド上のシステムにおける構築・運用・監視の基本的な機能を持つenterpriseCloud+を活用しました。
※「enterpriseCloud+」については、こちらをご参照ください
導入の背景と課題
特にここ数年、アジアを中心にグローバルの新規物流拠点構築案件の引き合いが増加していたが、グローバル標準で対応可能な共通プラットフォームとしてのWMSが無かったために、案件単位でスクラッチ開発や現地パッケージ導入等の個別対応が必要となり、見積もりや受注後のサービス立ち上げに時間を要してしまうことが大きな課題となっていました。
一方、経営目標である海外物流事業の拡大を従来以上に積極的に実現していくために、グローバル標準のWMSを早期に構築することにより、新規引き合いに対して更なるスピード感を持った対応を可能にすることが強く求められていました。
ただし、短期間でのスクラッチ開発によりシステムを構築するためには、従来型のウォーターフォール型の開発手法では、ユーザー要望が膨らんだり、下流工程での手戻りが多数発生する等の諸要因により、当初スケジュールや予算内で開発を完了させることが困難になるケースが多く存在しました。
AWSクラウドで実現するWMSのシステム基盤では、海外物流拠点との安全な通信環境を実現するとともに、拡張性、可用性が高いAWSの特性を活かす一方、WMS維持コスト低減を見据え、運用負荷工数を最小限に抑えるためのインフラ設計と構築が必要でした。
解決策とCACからの提案
今回シンプルで拡張性の高いシステム構築を、短期間でのスクラッチ開発により実現する必要があったために、AZAREA_Geneの自動生成及び標準機能を最大限活用し、可能な限りシンプルな状態で早期サービスインを実現しました。
具体的には、画面を幾つかのパターンに分類し、主要パターン毎に自動生成を活用し、早い段階から実物の画面を作成し、残りはウォーターフォール的に大量生産することにより、大幅な手戻りの抑制に成功しました。
また、業務ロジックは、ストアドプロシージャを利用して構築しました。あらかじめAZAREA_Geneにストアドプロシージャ呼び出し部品を組み込むことにより、既存のストアドプロシージャの流用も可能となり、早期サービスインに寄与しつつも、画面とビジネスロジックの分離を実現しています。
インフラ環境構築では、AWSクラウド上のシステム基盤の構築から運用・監視に至るまで豊富なサービスを持つ「enterpriseCloud+」を利用しました。最適化設計されたAmazon VPCネットワーク構成やサーバーテンプレートを用いてシステム基盤構築を行い、監視機能をはじめ、スケジュールやバックアップ処理など運用作業自動化の機能を持つCACが開発したコンソールを最大限活用し、システム担当者の効率的な運用業務を実現しました。
導入の効果とお客様の声
主な導入効果は、下記の2点になります。
①手戻りの大幅な解消
画面を幾つかのパターンに分類し、主要パターン毎に自動生成を活用し、画面プレビュー機能を効果的に利用しながら早い段階から実物の画面を作成し、残りはウォーターフォール的に大量生産することによって、従来のシステム開発と比較して、大幅な手戻りの抑制に成功しました。AZAREAの各種自動生成機能とパターン化ノウハウを組み合わせることで、最適なフロントローディングを実現することが出来ました。
※フロントローディング
製品開発プロセスの初期工程にリソースを投じ、今まで後工程で行われていた作業を前倒して進めること。問題点の早期発見による製品品質向上や、リードタイム短縮を目的として行われる。
②部分最適ではなく全体最適の実現
高機能な標準設定・標準機能を活用した自動生成と、ストアドプロシージャ・C#による拡張性豊かなカスタマイズを効果的に組み合わせることによって、シンプルな機能での早期サービスインを実現するとともに、その後の荷主ごとの柔軟なカスタマイズも強力にサポートしています。
システム導入の結果、お客様より、以下の声を頂いています。
1.グローバル対応可能なWMSを構築出来たことにより、アジア各国での新規物流拠点構築案件へのスピーディな対応が可能になり、情報システム部門として、経営目標である海外物流事業の拡大へ貢献できるものと考えています。
2.従来のウォーターフォール型のシステム開発手法にて大きな課題であった「ユーザー要望の膨らみ」や「下流工程での手戻り」を大幅に抑制し、必要最小限の機能を持ったシンプルなベースシステムの早期開発を実現することが出来ました。
3.汎用的な機能はベースシステムにより早期構築が可能になり、かつ荷主の独自要件にも柔軟に対応することが可能になりました。具体的な荷主も決定してきた状況で、グローバルにて今後更なるWMSの活用が期待出来ます。
4.当初要件には無かったが、iPadでも基本的な操作は動作していることも好評を得ていて、今後のタブレット活用推進が期待出来ます。
左から
IT推進部 システム開発室 榎本智之 氏
IT推進部長 松安賢治 氏
IT推進部 システム開発室 吉田尚平 氏
IT推進部 システム開発室長 鈴木和弘 氏
今後の展望として、本WMSを他社との差別化ツールとして競争優位力を伸長し、アジアを中心としたグローバル展開を強化及び推進していきます。
AZAREA_Geneを活用したことで、ベースシステムを基に、荷主の独自要件にも柔軟かつ早期の対応が可能になり、システム開発だけではなく、開発後の保守運用体制もコストを抑えて、効率的かつ積極的に展開していきたいと考えています。
『三井物産グローバルロジスティクス株式会社』は、三井物産グループで物流事業会社のトライネット・ロジスティクス株式会社と、フォワーディング業務を展開する株式会社トライネットが統合して、2017年4月1日に発足しました。両社の強みとする国内センター事業、不動産事業、国際物流事業を有機的に結び付け、全ての機能及び人材を融合し、お客様の物流ニーズに付加価値の高いサービスをご提供されています。
物流企業として半世紀を超える歴史があり、「多品種少量の物流センター事業」、「樹脂物流」、「定温・メディカル物流」、「フィルムライブラリー事業」等の分野で広範な物流サービスを展開され、最近では「デジタルアーカイブ事業」や「物流コンサルティング機能」を通じて、お客様の物流改善・コスト削減提案、最適物流システム構築、受発注を含むBPO業務委託など更に幅広い分野でハード・ソフト両面での物流サービスのご提供に取り組んでおられます。